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働き方改革関連法の解説HEADLINE

平成30年6月、通称「働き方改革関連法案」が成立しました。このページでは企業の人事労務管理に大きな影響を与える労働基準法パートタイム有期雇用労働法労働者派遣法のうち、改正により義務化された項目を中心に取り上げ、解説をしています。法律条文については、わかりやすくするため字句を加筆、修正しています。


働き方改革のリーフレットはこちら (PDF)



労働基準法の改正

今回改正される労働基準法の主な内容は以下の通りです。
  1. 時間外労働の上限が法律によって定められたこと
  2. 中小企業に対する割増賃金率の猶予措置の終了
  3. 会社による有給休暇の強制的な取得・消化の義務化
  4. フレックスタイム制の清算期間の見直し
  5. 高度プロフェショナル制度の創設


時間外労働の上限についての規制

施行日:大企業:平成31年(2019年)4月1日  中小企業:令和元年(2020年)4月1日

※大企業と中小企業を区分けする基準は、業種ごとに決められた資本金と従業員数です。

中小企業になるのは、以下の資本金または従業員数のいずれかに該当した場合です。
資本金:小売業・サービス業は5000万円以下、卸売業は1億円以下、その他の業種は3億円以下
常時使用する従業員数:小売業50人以下、サービス業・卸売業100人以下、その他の業種300人以下

詳しくは中小企業庁の中小企業の定義について



【概要】
これまで時間外労働の規制は適用される法律条文がなく、主に行政指導や36協定に違反する行為を是正することで行われていました。今回は時間外労働の上限時間が労働基準法に明記されました。上限時間を超えた時間外労働は直ちに法律に違反することになり、罰則も適用されます。

明記された時間外労働の上限時間は、1カ月は45時間までとし、年間では360時間までになります。なお1年単位の変形労働時間制を採用し、変形期間が3カ月を超える場合の上限は1カ月は42時間、1年間では320時間になります。


〇改正労働基準法 第36条第4項
前項の限度時間(=36協定により定める限度時間のこと)は、1箇月について45時間及び1年について360時間(1年単位の変形労働時間制による対象期間として3箇月を超える期間を定めて労働させる場合にあっては、1箇月について42時間及び1年について320時間)とする。



【特別条項の概要】
36協定に特別条項を設けた場合は、1カ月の時間外労働+休日労働の上限は100時間未満になります。そして年間での時間外労働の上限は720時間までに制限されます。また特別条項を用いることができる月数も1年に6月(6回)までとすることが明記されました。720時間÷12カ月=60時間になるからといって、毎月60時間まで残業ができる訳ではありません。


〇改正労働基準法 第36項第5項
第1項の協定(36協定のこと)においては・・・・・当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に第3項の限度時間を超えて労働させる必要がある場合において(特別条項を発動する場合のこと)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間(36協定で協定した時間も含め100時間未満の範囲内に限る)並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間(36協定で協定した時間も含め720時間を超えない範囲内に限る)を定めることができる。この場合において36協定に、併せて・・・・・対象期間において労働時間を延長して労働させる時間が1箇月について45時間(1年単位の変形労働時間制による対象期間として3箇月を超える期間を定めて労働させる場合にあっては、1箇月について42時間)を超えることができる月数(1年について6箇月以内に限る)を定めなければならない。



今回の上限規制のイメージ図
時間外労働の上限規制のイメージ図

厚生労働省作成のリーフレット P4より)



これらに加え、36協定の対象期間の初日から区切った1箇月ごとの各期間と、その直前の2カ月、3カ月、4カ月、5カ月の時間外労働+休日労働のいずれの平均も80時間を超えないようにすることが求められます。法定休日の労働時間については制限がないため、2カ月から6カ月間の時間外労働+休日労働の合計時間の累積を規制するように改正されました。


例えば、2021年9月の時間外の労働時間と休日労働の時間が確定した段階では、以下のようにして平均が計算されます。
時間外労働の2カ月から6カ月の平均を計算した事例

厚生労働省作成のリーフレット P17より)



特別条項を利用しない会社や、特別条項を利用できる会社であって特別条項を発動しない月についても、常に時間外労働+休日労働の直近2カ月〜6カ月平均は80時間を超えないようにする必要があります。またこの平均80時間という制限は労働者個人ごとに適用されます。社員ごとに残業時間や休日出勤にバラツキがあり、場合によっては月80時間を超える人もいるといった会社では、これまで以上に個人別の労働時間管理をしっかり行う必要があります。

特別条項を用いる会社の場合は、仮にある月に100時間の上限近くまで残業(時間外労働+休日労働)があれば、翌月の残業時間(時間外労働+休日労働)は60時間を超えないようにしないと、2カ月の平均で80時間を超えてしまう恐れがあります。また仮に前月の残業(時間外労働+休日労働)が80時間近くあれば、当月は100時間の上限近くまでの残業(時間外労働+休日労働)はできず、80時間を超えないようにする必要があります。


なお、この直近2カ月〜6カ月平均80時間という上限規制は、前年度の36協定の対象期間の残業時間(時間外労働+休日労働)も含めて計算されます。新しい年度になっても過去の残業時間(時間外労働+休日労働)の累積はクリアされません。

前年度の時間外労働も引き継がれる事例

厚生労働省作成のリーフレット P17より)



〇改正労働基準法 第36項第6項第3号
対象期間(36条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、1年に限るものとする)の初日から1箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の1箇月、2箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間80時間を超えないこと。



【経過措置について】
時間外労働の上限規制を定めた改正労働基準法の施行日は2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)ですが、経過措置が設けられています。

会社が締結した36協定の有効期間に2019年3月31日までの期間が含まれていると、その協定の有効期間が終了するまでは引き続き改正前の労働基準法が適用され、新しい時間外労働の上限規制の適用は猶予されます。2020年4月1日を迎えても、新たに36協定を締結し直す必要はありません。


※中小企業の場合は、下記の年月日から1年遅れになります。



厚生労働省作成のリーフレット P6より)



現行の36協定の様式である「時間外労働・休日労働に関する協定届」(様式第9号)は新しい上限規制の項目を記載した様式に改定されます。新しい様式で届出を行うのは大企業は2019年4月1日以降、中小企業は2020年4月1日以降になります。

中小企業でも2019年4月1日以降に新しい様式で提出することもできますが、その場合、大企業と同じように2019年4月1日から時間外労働の上限規制が適用されることになるので注意が必要です。


新しい36協定と記入例(PDF)

新しい36協定(特別条項)と記入例(PDF)




割増賃金率の引き上げ

施行日:令和5年(2023年)4月1日。平成22年(2010年)に労働基準法が改正され、割増賃金率が引き上げられました。しかし中小企業には影響が大きいとして、適用が猶予されてきました。その猶予措置が令和5年(2023年)3月31日で終了することが決まりました。


【概要】
月の時間外労働が60時間を超えた労働者に支払うべき割増賃金の割増率は、これまでの25%以上から50%以上に引き上げられます。月60時間を超えた時間外労働についてのみ割増賃金率が50%以上になり、60時間未満まではこれまで通りの25%以上でよいことになります。このため多くの会社では割増賃金率が25%と50%という2段階になることが予想されます。


〇第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
使用者が、第33条(災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等)又は36条第1項の規定(時間外及び休日の労働)により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が1箇月について60時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。



年次有給休暇の強制的な取得・消化の義務化

施行日:平成31年(2019年)4月1日


【概要】
会社は基準日(最初に有給休暇が発生する日、あるいは新たに付与される日数が加算される日)に10日以上の有給休暇が付与される労働者に対しては、有給休暇の5日については、毎年、基準日から1年以内に取得日を指定して消化を図ることが義務化されました。

労働者が自ら申し出て取得した有給休暇の日数や、計画的付与により取得された有給休暇の日数は5日から控除することできます。




厚生労働省作成のリーフレット P5より)



〇改正労働基準法 第39条第7項(年次有給休暇)
使用者は・・・・・・有給休暇(使用者が与えなければならない有給休暇の日数が10労働日以上である労働者に係るものに限る)の日数のうち5日については、基準日(継続勤務した期間を6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間の初日をいう)から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。


厚生労働省による年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(PDF)



フレックスタイム制の清算期間の見直し

施行日:平成31年(2019年)4月1日


【概要】
従来、フレックスタイム制における清算期間は1カ月とされていましたが、最大3カ月にまで延長することができるようになりました(これまで通り1カ月にすることもできます)。清算期間が1カ月を超える場合は、フレックスタイム制を定めた労使協定を労働基準監督署へ届け出ることが必要です。

また清算期間が1カ月を超える場合、清算期間を1カ月ごとに区分けした各清算期間の1週間の労働時間の平均は50時間を超えないようにしなければなりません。つまり清算期間が1カ月を超える場合は、@1カ月ごとに区分けされた各清算期間における法定労働時間枠と、A清算期間全体を通しての法定労働時間枠という2つの枠が生じることになります。それぞれの法定労働時間枠を超えた場合は、時間外労働になり、割増賃金の支払い対象になります。


清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制の場合、区分けされた1カ月の清算期間の法定労働時間は次のようになります。

31日の場合、50時間×(31日÷7日)=約221.4時間
30日の場合、50時間×(30日÷7日)=約214.2時間
28日の場合、50時間×(28日÷7日)=約200.0時間


清算期間を3カ月にした場合、清算期間全体を通じての法定労働時間の総枠は以下の通りです。

暦日数が92日の場合、40時間×(92日÷7日)=約525.7時間
暦日数が91日の場合、40時間×(91日÷7日)=約520.0時間
暦日数が89日の場合、40時間×(89日÷7日)=約508.5時間


区分けされた1カ月の清算期間の法定労働時間と清算期間全体の法定労働時間を共に超えた場合、時間外労働や割増賃金をどのように取り扱うのかについては現在定まっていません。後日、行政当局から何らかの方針が示されるものと思われます。


〇改正労働基準法 第32の3 第1項
第2号(労使協定で定める事項の一つ)
清算期間(その期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、3箇月以内の期間に限るものとする)


〇改正労働基準法 第32の3 第2項
清算期間が1箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは、「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後1箇月ごとに区分した各期間ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が50時間を超えない」と・・・・する



高度プロフェショナル制度の創設

施行日:平成31(2019年)年4月1日


【概要】
職務の範囲が明確で、年収が少なくとも1000万円を超えるような労働者については、労働時間、休憩、休日の規定を適用除外とし、深夜の割増賃金についても規定も適用が除外されます。

労働時間や休憩、休日の規制が適用されない点は従来からの管理監督者と同じ扱いですが、高度プロフェショナル制の労働者は深夜労働の割増賃金の支払いについても適用が除外されます。


〇改正労働基準法 第41条の2(新設)
労使員会が設置された事業場において、当該委員会の4分の3以上の多数による議決により次に掲げる事項に関する決議をし、かつ、使用者が当該決議を行政官庁に届け出た場合において、対象労働者であって書面等により同意を得たものを対象業務に就かせたときは、この章(第4章)で定める労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は対象労働者については適用しない。


労使委員会で決議する項目
(1)高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められるものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせる業務(対象業務)

(2)対象労働者の範囲
対象となる労働者は、@使用者との書面等による合意に基づき職務が明確に定められていて、A厚生労働省令で定める額以上の給与であること

(3)対象労働者の健康管理を行うために、対象労働者が社内にいた時間(労使委員会が決議すれば労働時間以外の時間は除く)と事業場外で労働した時間との合計時間(=健康管理時間)を把握する措置を定めることにより会社が講ずること

(4)対象労働者に対し、1年間を通じて104日以上、かつ4週間を通じて4日以上の休日を与えることを決議し、就業規則に定めることにより会社が与えること

(5)次のいずれかの措置を決議し、就業規則に定めるところにより会社が講ずること

イ 始業から24時間が経過するまでに厚生労働省令で定める時間以上の継続した休息時間を確保し、かつ、午後10時から翌日の午前5時までの間の深夜労働の回数を厚生労働省令で定める回数以内とすること

ロ 健康管理時間を1箇月または3箇月について、それぞれ厚生労働省令で定める時間を超えない範囲内にすること

ハ 1年に1回以上の継続した2週間(労働者が請求した場合は1年に2回以上の継続した1週間)の休日を与えること

ニ 厚生労働令で定める要件に該当する労働者に厚生労働省令で定める項目を含む健康診断を実施すること

(6)対象業務に従事する労働者の健康管理時間の状況に応じた対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置であって、法定による有給休暇以外の有給休暇の付与、健康診断の実施、その他厚生労働省令で定める措置の中から、決議で定めたものを会社が講ずること

(7)対象労働者のこの項の規定による同意の撤回に関する手続

(8)対象業務に従事する対象労働者からの苦情処理に関する措置を決議で定め、会社が講ずること

(9)会社はこの項の規定による同意しなかった対象労働者に対して、解雇その他不利益な取り扱いをしないこと

(10)その他、厚生労働省令で定める事項




パートタイム有期雇用労働法の改称・改正(同一労働同一賃金)


これまで短時間労働者については「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム労働法)によって、同一労働同一賃金について明確な定めがありました。しかしフルタイムで働く契約社員のような非正規雇用の従業員には、労働契約法の20条による期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止する規定しかありませんでした。

そこで今回、労働契約法の20条を削除し、代わりに「パートタイム労働法」を「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム有期雇用労働法)に改め、フルタイムで働く有期雇用契約の社員も対象に含めることになりました。これにより労働時間の長短に関わらず全ての非正規労働者について、同一労働同一賃金を定めた「均衡待遇」と「均等待遇」が適用されることになります。

また会社は短時間労働者や有期雇用労働者を雇い入れた時と、彼らから求めがあった時は、正社員との待遇差について説明することも義務化されました。


施行日:大企業 令和2年(2020年)4月1日   中小企業 令和3年(2021年)4月1日


 (令和1年10月7日)
同一労働同一賃金について、事例を交えて詳しく解説しています。何がどう変わる? 同一労働同一賃金の法制化



不合理な待遇差を解消するための規定の概要

【概要】
短時間労働者やフルタイムで働く有期雇用の労働者と正規雇用労働者との待遇差の禁止に関し、個々の待遇ごとに、その待遇の性質・目的を踏まえ適切と認められる事情を考慮し、不合理な相違を設けることや差別的取り扱いを禁止する旨が明確にされました。対象となる待遇とは、基本給や賞与に加え、各種の手当、福利厚生、教育訓練などです。

待遇差の有無を判断するポイントは、@仕事の内容や責任の範囲の違い、A人事異動や配置転換によって@が変更される有無や範囲の違い、Bその他の事情、とされています。Bのその他の事情としては、待遇差に長期雇用を前提とした狙い・目的(例えば将来に向けた労働意欲の向上、優秀な人材の確保・定着など)が認められるかどうかがポイントになります。

たとえば正社員には支給され、パートタイマーや契約社員には全く支給されていないといった手当は、長期雇用を前提としたしっかりした動機付けがないと不合理と判断される恐れがあります。ただし合理的であることまでは求められません(長澤運輸事件 最高裁判決 平成30年6月1日)

待遇における不合理な相違を判断する際に目安になるガイドライン(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 平成30年厚生労働省告示第430号)が示されています。


〇改正パートタイム有期雇用労働法 第8条(不合理な待遇の禁止)
事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
(↑正社員と非正規社員の待遇の差は、職務の内容や人材活用のあり方を踏まえ、バランスが取れているという「均衡待遇」の義務化です)


〇改正パートタイム有期雇用労働法 第9条(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(職務内容同一短時間・有期雇用労働者という)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するための全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取り扱いをしてはならない。
(↑正社員と職務の内容や人材活用の方法が全く変わらない非正規社員については、待遇の差を禁止する「均等待遇」の義務化です)



待遇差についての説明の義務化

【概要】
短時間・有期雇用労働者を雇い入れた際、あるいは短時間・有期雇用労働者求めがあった場合、会社は正規雇用労働者との待遇の差の内容、格差の理由や事情等の説明を行うことが義務化されました。


改正パートタイム有期雇用労働法 第14条
事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに第8条から第13条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関し講ずることとしている措置の内容について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。

2.事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第6条から第13条までの規定により措置を講ずべきとされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該短時間・有期雇用労働者に説明しなければならない。


<参考>
第6条 労働条件に関する文書等の交付による明示
会社は短時間・有期雇用労働者を雇い入れた時は、労働条件について労働基準法で定められた事項以外の「特定事項」についても、文書の交付等により明示しなければならない。

特定事項とは、以下の4項目です。
  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無
  4. 短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

第7条 就業規則の作成・変更時の意見聴取について
第8条 不合理な待遇の禁止
第9条 通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止
第10条 賃金
第11条 教育訓練
第12条 福利厚生施設
第13条 通常の労働者への転換


パートタイム有期雇用労働法のリーフレット (PDF)









労働者派遣法の改正


労働者派遣法では、雇用形態に関わらない公平な待遇を確保し、同一労働同一賃金の実現を推し進めるための改正が行われました。また派遣先企業には自社の待遇情報の提供義務、派遣元企業には待遇の格差についての説明義務が課されました。

なお、有期雇用契約による派遣労働者は、前項の「パートタイム有期雇用労働法」も適用され、これにより派遣元の正社員との間での待遇差についても解消が図られることになります。


施行日:令和2年(2020年)4月1日  均衡・均等待遇の規定は中小企業に限り令和3年(2021年)4月1日



派遣元による待遇情報の提供義務

【概要】
派遣労働者と派遣先の労働者との待遇について「均衡待遇」や「均等待遇」を図るため、派遣労働者を受け入れる予定の企業は、労働者派遣契約を締結するに当たって、自社の労働者の待遇に関する情報を派遣元に提供することが義務化されました。

提供すべき待遇情報は、派遣される労働者が従事する業務ごとに、自社の比較対象となる正社員の賃金やその他の待遇に関する情報です。そして派遣元企業は派遣先となる会社から上記の情報提供がない時は、労働者派遣契約を締結することが禁止されます。


〇労働者派遣法 第26条第7項(新設)
労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、第1項の規定により労働者派遣契約を締結するに当たっては、あらかじめ、派遣元事業主に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報その他の厚生労働省令で定める情報を提供しなければならない。

〇労働者派遣法 第26条第8項(新設)
前項の「比較対象労働者」とは、当該労働者派遣の役務の提供を受けようとする者に雇用される通常の労働者であって、その業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という)並びに当該職務の内容及び配置の変更の範囲が、当該労働者派遣に係る派遣労働者と同一であると見込まれるものその他の当該派遣労働者と待遇を比較すべき労働者として厚生労働省令で定めるものをいう。

〇労働者派遣法 第26条第9項(新設)
派遣元事業主は、労働者派遣の役務の提供を受けようとする者から第7項の規定による情報の提供がないときは、当該者との間で、当該労働者派遣に係る派遣労働者が従事する業務に係る労働者派遣契約を締結してはならない。

〇労働者派遣法 第26条第10項(新設)
派遣先は、第7項の情報に変更があったときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、派遣元事業主に対し、当該変更の内容に関する情報を提供しなければならない。

〇労働者派遣法 第26条第11項(新設)
労働者派遣の役務の提供を受けようとする者及び派遣先は、当該派遣労働者に関する料金の額について、派遣元事業主が、第30条4第1項の協定に係る労働者派遣以外の労働者派遣にあっては第30条3及び規定、同項の協定に係る労働者派遣にあっては同項第2号から第5号までに掲げる事項に関する協定の定めを遵守することができるものとなるように配慮しなければならない。



「派遣先均衡・均等方式」による待遇差の解消

【概要】
派遣元は派遣労働者の待遇に関して、派遣先の正社員と比べ不合理な相違を設けることや差別的な取り扱いが禁止されます。対象になるのは全ての派遣労働者であって、有期雇用の派遣労働者だけでなく、無期雇用の派遣労働者も該当します。

具体的には派遣労働者の基本給や賞与、その他の待遇については、派遣労働者と派遣先の正社員の間の@業務の内容や責任の程度、A人事異動や配置転換などによってそれらが変更される範囲、Bその他の事情、これらを踏まえて設けられた待遇のうち、待遇の趣旨や目的に照らして、不合理と認められる相違を設けることが禁止されます。つまり均衡・バランスの取れた待遇にすることが求められます。

たとえば派遣先の正社員には支給されているが、派遣社員には全く支給されていない手当などは、その手当の趣旨や目的に照らして不合理でないことが求められます。ただし合理的であることまでは要求されません(長澤運輸事件 最高裁判決 平成30年6月1日)

そして派遣労働者と派遣先の正社員との間の仕事の内容や責任の程度、人事異動・配置転換によりそれらが変更される範囲が同じ場合であることが見込まれる場合は、派遣労働者の待遇は派遣先の正社員と比べ不利なものとしてはならないとされ、均等・イコールな待遇にすることが定められました。

この「均等待遇」が該当するケースの一つとして、派遣先企業に人事異動や配置転換がない「職務限定正社員」がおり、彼らが比較対象労働者となる場合が想定されます。こうした場合、派遣労働者の仕事の内容や責任の程度が派遣先の限定正社員と同じであれば、派遣労働者の待遇は派遣先の限定正社員と同じ(均等)にしなければなりません。


〇第30条の3(不合理な待遇の禁止等)
派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

2.派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならない。



「労使協定方式」による待遇の決定

【概要】
派遣労働者の待遇について、派遣先の正社員との間で均衡待遇や均等待遇を図る「派遣先均等・均衡方式」を採用すると、派遣先が変わったり、派遣先企業の比較対象労働者の待遇に変更があると、派遣労働者の待遇も変更しなければならなくなります。変更により待遇が悪化する場合もあります。

そのため派遣元企業において労使協定を締結することにより、上記の第30条3で求める「均衡待遇」や「均等待遇」の適用を避けることができる規定が設けられました。

締結する労使協定には、待遇の決定が労使協定によって決まるという協定対象派遣労働者の範囲や、賃金の決定の方法として、@同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金の額以上となること、A職務評価や役割評価、人事評価などにより昇給すること、B派遣元の正社員との待遇において不合理な相違にならないこと、などを定めます。なおこの労使協定の対象になる派遣労働者には有期雇用の派遣労働者だけでなく、無期雇用の派遣労働者も含まれます。

締結した労使協定は労働基準監督署への届出る必要はありませんが、雇用される労働者に周知を図る必要があります。そして派遣元企業は、労働者派遣をする時は派遣先に対して、派遣する労働者が協定対象派遣労働者であるか否かを通知する必要があります(第35条第2項)


〇第30条の4(新設)
派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定(=労使協定)により、その雇用する派遣労働者の待遇(第40条第2項の教育訓練、同条第3項の福利厚生施設その他の厚生労働省令で定めるものに係るものを除く。以下この項において同じ)について、次に掲げる事項を定めたときは、前条の規定(第30条3=派遣先均等・均衡方式)は、(以下の)第1号に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇については適用しない。ただし、第2号、第4号若しくは第5号に掲げる事項であって当該協定で定めたものを遵守していない場合又は第3号に関する当該協定の定めによる公正な評価に取り組んでいない場合は、この限りでない。

1号.その待遇が当該協定で定めるところによることとされる派遣労働者の範囲

2号.前号に掲げる範囲に属する派遣労働者の賃金の決定の方法(次のイ及びロ(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものにあっては、イ)に該当するものに限る)

イ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること。

ロ 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があつた場合に賃金が改善されるものであること。

3号.派遣元事業主は、前号に掲げる賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たっては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること。

4号.第1号に掲げる範囲に属する派遣労働者の待遇(賃金を除く。以下この号において同じ)の決定の方法(派遣労働者の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違が生じることとならないものに限る)

5号.派遣元事業主は、第1号に掲げる範囲に属する派遣労働者に対して第30条の2第1項の規定による教育訓練を実施すること。

6号.前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

2.前項の協定を締結した派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、当該協定をその雇用する労働者に周知しなければならない。


 追加情報(令和1年7月4日)
厚生労働省は上記の2号のイ、「同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額」について明らかしました。詳しい内容は厚生労働省のウェブサイト、「派遣労働者の同一労働同一賃金について」に掲載されています。



職務の内容等を勘案した上での賃金の決定(努力義務)

【概要】
派遣元企業は、派遣労働者の賃金の決定にあたっては、派遣先の正社員との均衡を考慮しつつ、派遣労働者の仕事の内容や責任の程度、職務の成果、意欲、能力、経験その他の就業の実態に関する事項を勘案して賃金を決定するように努めることが求められます。

ただし、ここでの派遣労働者には、第30条の3・第2項に該当する「均等待遇」が求められる派遣労働者と、第30条の4の「労使協定方式」によって待遇が決められる「協定対象派遣労働者」は対象外になります。


〇第30条の5(職務の内容等を勘案した賃金の決定)(新設)
派遣元事業主は、派遣先に雇用される通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者(第30条の3・第2項の派遣労働者及び前条第1項の協定で定めるところによる待遇とされる派遣労働者(以下「協定対象派遣労働者」という)を除く)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く)を決定するように努めなければならない。



待遇に関する説明義務

【概要】
派遣元企業は労働者を派遣労働者として雇入れしようとする時や、労働者派遣を行おうとする時は、派遣労働者に対して待遇に関する事項を説明しなければならなくなりました。

説明すべき事項は、@労働条件に関する事項のうち、労働基準法で定められている項目以外のものであって、別途、厚生労働省令で定めるものと、A不合理な待遇・差別的取り扱いの禁止(第30条3)、派遣労働者の待遇について定めた労使協定(第30条第1項)、職務の内容を勘案した賃金決定の規定(第30条の5)により講ずることとされている措置の内容とされています。

また、すでに雇用されている派遣労働者から求めがあった時は、派遣先の正社員との待遇の相違の内容についてと、第30条の3から第30条の6までの規定(以下参照)により会社が講ずべきとされている事項を決定するに当たって考慮した事項を説明しなければならなくなりました。

第30条の3 派遣先の正社員との均衡待遇・均等待遇を求める規定
第30条の4 派遣労働者の待遇を労使協定方式とする規定
第30条の5 賃金の決定は職務の内容等を勘案して決定することを努力義務とする規定
第30条の6 就業規則の作成・変更に際しては、派遣労働者の過半数代表者の意見聴取を求める努力義務規定


(待遇に関する事項等の説明)
第31条の2(新設)
(第1項・省略、第2項・第3項は新設)
2.派遣元事業主は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、文書の交付その他厚生労働省令で定める方法(次項において「文書の交付等」という。)により、(以下の)第1号に掲げる事項を明示するとともに、厚生労働省令で定めるところにより、(以下の)2号に掲げる措置の内容を説明しなければならない。

第1号 労働条件に関する事項のうち、労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項以外のものであって厚生労働省令で定めるもの

第2号.第30条の3(派遣先均衡・均等方式)、第30条の4第1項(労使協定方式)及び第30条の5の規定(職務内容を勘案した賃金の決定)により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び前号に掲げる事項を除く)に関し講ずることとしている措置の内容

3.派遣元事業主は、労働者派遣(第30条の4第1項の(労使)協定に係るものを除く)をしようとするときは、あらかじめ、当該労働者派遣に係る派遣労働者に対し、文書の交付等により、第1号に掲げる事項を明示するとともに、厚生労働省令で定めるところにより、第2号に掲げる措置の内容を説明しなければならない。

第1号 労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び前項第1号に掲げる事項(厚生労働省令で定めるものを除く。)

第2号 前項第2号に掲げる措置の内容

4.派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者から求めがあつたときは、当該派遣労働者に対し、当該派遣労働者と第26条第6項に規定する比較対象労働者との間の待遇の相違の内容及び理由並びに第30条の3から第30条の6までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項を説明しなければならない。

5.派遣元事業主は、派遣労働者が前項の求めをしたことを理由として、当該派遣労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。



労働者派遣法改正の概要を記したリーフレット (PDF)

不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル 労働者派遣業界編 (PDF)








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