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オフィス ジャスト アイは人材の活用と育成を専門とする人事コンサルティング事務所です。

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多面評価を導入・活用している企業HEADLINE

日本経済新聞社の「人を活かす会社」調査(2015年)によると、回答した企業(上場企業で連結従業員1000人以上)のうち、多面評価を導入している割合は約45%でした。この数値は10年前に比べ10%以上増えており、多面評価は着実な広がりと定着を見せています。

多面評価の狙いは、人材育成、現状把握と課題発見、組織づくり、人事評価など、各社の事情によって様々です。このページでは実際に多面評価を導入している企業とその活用事例を、メディアの記事やプレスリリースの内容からご紹介しています。
さあ、あなたの会社でも多面評価を始めてみませんか。


【ご案内】 当事務所の多面評価はこちらです



テルモ

2009年からイノベーション精神の重視、そして、自由闊達で明るく、働きがいのある職場づくりを実現するため、さまざまな取り組みをスタートさせ、その施策の一つとして、2011年から「360度アンケート」の実施を始めた。

「360度アンケート」の対象となるのは国内の役員と部門長クラスで、①気づきの機会創出、②「開かれた経営」という価値観の醸成を狙いにしている。年に1回のペースで行われ、結果は人事評価には使わないが、すべて社内に公開され、誰でも閲覧できるようにしている。

「360度アンケート」の質問は、仕事に対するスタンスに関するものと、メンバーとの関わり方に関するものが合わせて15項目あり、5段階で評価する。そして「やって欲しい事」と「やって欲しくない事」について、評価者が自由にコメントする意見欄が2つある。質問内容は経年による比較ができるようにするた変更は行わない。

評価者は被評価者と半年以上、一緒に仕事をしている上司、同僚、部下で、被評価者が6人~20人程度を目安に指名する。

結果の活用については、会社から特に指示はなく、本人に任せている(※これは会社の風土や体質による判断と思われます)。多くの人は部門会議の場などを使ってフィードバックを行い、メンバー全員で結果を共有したり、自ら改善のための宣言を行っている。

同社では「360度アンケート」の実施に合わせて全社員を対象に「働きがいアンケート」も行っている。これは組織に対する評価で、結果は部門長へフィードバックされる。

「360度アンケート」に対する社内の反応は、「部門長に意見を言う場ができて良かった」「職場の雰囲気が明るくなった」「相談しづらかった上司が相談しやすくなった」といった声があり、組織風土が変わることで「自由闊達な職場づくり」に向けた確かな手応えを得ている。(2016年9月)



クレディセゾン

90年代後半より360度評価を実施していたが、社風・価値観の浸透、行動のあり方、職場の関係形成、フィードバックによるモチベーションの向上を図るため、2012年に自社の独自仕様による多面評価・「MAP」(夢中力・アセスメント・プログラム)に衣替えを行った。

「夢中力」というのは、同社が求める人材に対する基本方針で、夢中になって挑戦する力、情熱を継続する力、自分と組織を成長させる力、と定義している。そして「夢中力」は「SQ・感性」「EQ・理性」「IQ・知性」を掛け合わせた「BQ・ビジネス感度」で成り立つとしている。

「MAP」は年に1回、全社員を対象に実施し、狙いとしては次の3つを掲げている。①日頃の自分の行動特性を理解する、②現状を把握し行動を変える、③周囲のメンバーとの信頼関係を深める。

被評価者は評価者を5名~7名選び、上司・上長が選定に偏りがないかを確認する。使用する質問フォームは全社員共通で、7つの夢中力タイプから1つを選び、「BQ・ビジネス感度」に基づく28項目について5段階で評価する。自由コメント欄は回答者への負荷を考慮し設けていない。28項目の質問内容は毎年、見直すことにしている。

個人別に配布する結果帳票の内容は、①夢中力タイプの比較と、②あなたへのエールがイラストと共に示され、③「BQ・ビジネス感度」の総合結果は、設問ごとに自分と観察者の回答の比較が数値とグラフでと示される。また部門長には部門単位の結果もフィードバックされ、こちらは社内報でも公開している。

「MAP」の活用方法としては、①自分への期待を確認する、②日常の行動を分析する、③今後の目標・計画を立てる、ことを想定している。人事部から社員に対しては、「MAP」を見る際は、①自己評価の全体のバランスと、②自己認識と周囲の観察結果のギャップに注意するように呼び掛けている。

「MAP」を実施することにより、全社員が共通の話題でコミュニケーションできるようになる、数値の改善するための相談が寄せられるなど、組織風土が大きく変わってきたという手応えを得ている。また、自社の価値観や行動のあり方を社員に伝える機会になり、自己認識や自社らしさの浸透にも役立っている。(2016年9月)



リクルート住まいカンパニー

同社はリクルートグループの分社化で2012年に誕生した。リクルートグループでは90年代から、管理職階層を対象にした「360度評価サーベイ」を行っており、約10年前にはグループ内の企業であれば利用できる「PVA」(プロフェッショナル・バリュー・サーベイ)の導入を始めた。

リクルートグループでは「PVA」を社員の成長につなげるツールと位置づけ、現状を客観的に振り返り、強みや課題を具体化し、能力開発につなげることを狙いにしている。リクルート住まいカンパニーは分社後も、この「PVA」を利用することを決め、対象者を全社員に拡大することにした。

同社での「PVA」は年に1度、行われる。評価者になるのは被評価者の上司、同僚、部下、後輩で、1人の被評価者につき6人~12人前後が選ばれる。人選は事務局が行い、被評価者の上司が確認する。

質問は同社が継続して顧客価値を生む能力・姿勢として定める「6つのスキル・4つのスタンス」に基づき作成される。6つのスキルと4つのスタンスの計10項目につき、それぞれ2問~6問の質問があり、5段階の評価を行う。またフリーコメント欄を設け、被評価者の強みや、今後の課題面について自由に記入する。評価者が回答に要する時間は1人あたり10分~15分。

質問内容は「6つのスキル・4つのスタンス」が改定されない限り、経年による変化を見るため、大きく見直すことはない。被評価者の属する階層により質問の表現は若干変わり、合計4種類の質問フォームを用意している。

結果は質問に対する回答結果とフリーコメントがフィードバックされる。この際、上司との面談で用いる面談シートが添えられ、被評価者は「PVA」の結果を見ながら面談シートを作成し、この後に行われる上司との面談に備える。被評価者の上司にも部下の結果がフィードバックされる。

上司は部下との振り返り面談の場で、「PVA」の結果を用い、今後の成長計画を話し合う。「PVA」の結果を周囲からの評価と捉えるのではなく、自分に対する期待メッセージとして捉えることを意識し、「生かす強み」「克服する課題」「能力開発を実践するための具体的な行動」をまとめるように話し合いを進める。

同社にとっては前身であるリクルートグループ時代から長年、多面評価を行ってきたこともあり、「PVA」は仕組みとしては完全に定着している。今後の課題としては、結果の活用に関して個人差が大きいので、これを解消すること、そして効果を「見える化」すること、組織別や階層別などに集計することによる活用を挙げている。(2016年9月)



アイリスオーヤマ

人事に関して5つのミッションを掲げ、その一つとして「横断的かつ公正な評価」を挙げている。また「ゴールを明確にした人材育成」というミッションでは4つの要素を定め、その一つに「公正な評価」がある。公正な評価により本人が納得することが自己成長に繋がると考えている。このように同社では人事評価と人材育成の両面において「公正さ」を重視している。

多面評価を導入する前は、人事評価では評価者間のズレや偏りが生じ、人事評価の結果を人材育成に生かすことができない状態が続いていた。そこで、評価される本人が納得できる事と、フィードバックにより強み・弱みに気づき、自己成長に繋げる事を実現するため、2003年、多面評価を取り入れることになった。

導入時は人材育成ツールとして、対象を管理職階層にしていたが、効果が確認できたため、5年後にはパート・契約社員も含めた全社員に拡大した。

同社の多面評価は4等級(主任)以上の幹部社員用と一般社員用の2種類に分かれている。質問内容は、幹部社員用は「業務力」「実力」「指導力」「人間力」の4分野から計12問、一般社員用は「基本的行動」「能力」「人間力」「実績」の4分野からの12問で、1点~6点の6段階で評価する。自由記述欄は設けていない。質問項目は毎年、見直すことにしている。

評価者になるのは幹部社員では10人~30人で、人選は人事部が行う。一般社員の場合、評価者の人数の平均は9人で、人選は部門長が行う。

個人にフィードバックされる帳票に示されるのは、①12項目の結果のグラフ、②4分野ごとの平均値、③社内における順位、④12項目の数値、⑤前年度の数値、⑥他者評価のバラツキ度(標準偏差)。部門長には部門の結果を集約した帳票もフィードバックしている。

多面評価の結果は、幹部社員については人事評価と人材育成のために利用する。幹部社員の昇格・降格は、年に1度、行われるリーダー研修の結果と多面評価の結果を基に、人事評価委員会で査定を行い決定する。

一般社員については人材育成についてのみ利用し、直属の上司が多面評価の結果を使ってコミュニケーションを積極的に取るように促している。例えば、目標設定の際に結果を使うようにする、能力開発に向けたフォローやアドバイスを行うようにする。社員満足度調査における多面評価に対する満足度・納得度は5点満点中、4.2とかなり高い。

多面評価の活用・運用に際し注意しているのは、①部門による評価目線の違いがあること、②気づきを促し自己成長に繋がるフォロー策、③極端な回答をする評価者への対処。今後の課題は人材育成ツールとして生かしきれていない部分、生かしきれていない社員に向けた対策がある。(2016年9月)



アサヒビール

2010年から組織・部門長を対象にした「多面評価」を開始。その後、名称を「360度フィードバック」に改称し、実施対象者を部下がいる管理職やチームリーダーにも広げ、年に1度のペースで実施している。

「360度フィードバック」の質問項目はビジョンマネジメントとジョブマネジメントに関するものに分かれている。ビジョンマネジメントはWILL(意思の表明)、SEE(問題の感知)、THINK(戦略の構築)の3項目に関するもので、ジョブマネジメントはPLAN(業務の計画)、DO(業務の遂行)、CHECK(成果の検証)、ACTION(業務の改善)の4項目についての質問が用意されている。

質問数は全部で24問あり、回答者はそれぞれ5(たいへんよく出来ている)から1(ほとんど出来ていない)の5段階で回答する。回答者は被験者本人以外に、上司、部下、同僚の合計10人以内で、人事部が指名する。回答結果は誰が回答したかをわからないようにして、本人にフィードバックされる。気づきを促すことを目的としているため、人事評価や人事異動には利用しない。

2013年からは360度フィードバックの実施後に、評価を受けた者同士が集まり、互いの評価を基に議論する「リーダー・ミーティング」を開始。参加者は同じ職種の者同士とし、1回あたり15名前後を集めて行われ、今後自らが実施する「アクションプラン」を立てる。

「リーダー・ミーティング」の終了後は、同じ参加メンバー同士でグループまたはペアを作り、半年間に渡って定期的に「アクションプラン」の進捗状況を確認し、コーチングを行う。具体的にどのような手段、手法で行うかは当事者に任せている。

今後の展開としては、部門ごとに「リーダー・ミーティング」を行う方法も始めている。2014年には各地の工場長を集めて「工場長ミーティング」を行い、参加した工場長が今度は自分の率いる工場内の各部長クラスを集めて同じようなミーティングを実施した。2015年はこの方式を営業部門でも実施、適用範囲を拡大させている。(2016年6月)



トラスコ中山

2001年に全社員を対象にした「オープン・ジャッジ・システム」(OJS)という多面評価制度を導入。OJSは人事考課OJSと昇格OJSの2つで構成される。

人事考課OJSは全社員を対象に年2回実施。同じ職場で働く全社員が評価者になり、業績、姿勢、意欲について5段階で評価する。結果は人事考課へ20%反映される。

昇格OJSは昇格候補者(主任クラス以上)を対象に年1回実施。昇格要件を満たした社員は自ら立候補し、多面評価を受ける。評価者は候補者を知る社員なら誰でもなることができる。昇格の適否を○×で判断し、80%以上の支持があれば昇格。同時に、一定数以上の評価者の数を得ることも必要とされる。

2012年からは、新しく「役員オープン・ジャッジ・システム」という役員向けの多面評価を開始。社長以外の常勤取締役と監査役を役員・執行役員・各部門の責任者全員が評価する(社長は株主によって評価されるものとして除外)。6項目を4段階で評価し、結果は株主総会でも公表される。2年連続して一定の評価点数以下の場合は、降格・退任候補者となる。

同社の多面評価には全て自由コメント欄が設けられ、誰がどのようなコメントをしたかがわからないようにして、点数と伴にフィードバックされる。



ジェイアイエヌ

眼鏡専門店「JINS(ジンズ)」を展開するジェイアイエヌは、正社員など約600名を対象に、上司に加え部下や同僚からも仕事の評価を受ける 「360度評価制度」を導入した。

全社員が社内向けホームページ上で、同じ職場や本部にいる上司、同僚、部下の業務内容やコミュニケーション能力などを点数で評価する。評価結果は本人も閲覧可能。上司以外による評価は回答の平均点だけを表示し、評価者の匿名性を守る。(2011・冬)



サガミチェーン

和食レストランを展開するサガミチェーンは店長と本社管理職の約200人を対象に、上司だけでなく同僚や部下からも働きぶりの評価を受ける「360度人事評価」を導入した。

店長の人事評価では、店舗の全従業員が評価者となり、携帯電話を使ってインターネット上で約40項目の質問に匿名で答えていく。管理職の質問項目は店長と異なるが、同様の方式で評価、来期以降、年2回の人事評価に反映させる。(2011・夏)



コーセー

化粧品の製造・販売のコーセーは「360度評価」の対象者を拡大する。これまでの課長級以上の社員に加え、新たに係長などの管理監督層も対象にする。

今回の措置で新しく360度評価の対象となるのはコーセーとコーセー化粧品販売に在籍する約150人。同社では2009年春に、この2社の部長・課長級の社員に対し360度評価を導入している。(2010・秋)



カゴメ

2007年から全管理職を対象に「360度観察」を始めた。導入の目的は管理職に気づきを与えて、マネジメント行動の変化につなげるためで、給料や賞与、昇進・昇格には一切反映させていない。

「360度観察」の結果は外部で印刷され、密封された状態で直接本人に手渡しされる。経営陣や人事部は管理職全体の集計結果だけを入手し、個人ごとの結果については本人以外一切わからない仕組みにしている。

「360度観察」の実施は、対象となる管理職1名とその上司1~2名、同僚と部下は最低3名(基本的に部下は全員)。結果が出た後、管理職全員を対象に研修を行う。研修では同じ職位の管理職同士を6人程度のグループに分け、結果を共有し、相互にアドバイスを受ける。その後、今後1年間でどのように行動を変えるかの「アクションプラン」を作成し、研修終了後に上司と面接を行う。

会社としては「360度観察」は管理職の行動変化を促すだけでなく、管理職全員の傾向から会社組織の強みや弱みが明らかになり、今後の経営上の課題も見えてくる効果もあるとしている。



ソフトバンク

持ち株会社に以降する以前から実施していた多面評価を2007年に「管理職サーベイ」に一新した。「管理職サーベイ」により管理職に新たな自己認識を得てもらい、能力開発につなげることでマネジメント能力の向上を目指している。

被験者は全管理職で、年に1回のペースで実施している。観察者は直属の上司・1名、同僚と部下はそれぞれ3名以上とし、被験者自らが選び上司が承認する。同僚と部下、それぞれ3名の観察者が確保できない場合は、内訳を問わず観察者合計人数を7名以上にして実施する。

「管理職サーベイ」の質問数は30項目で、内容は人事評価で評価の対象となる「コア能力評価」に関わる行動がどれだけ取れているかを尋ねる。結果は5段階で評価する。被験者である管理職の等級によって質問内容は異なる。

「管理職サーベイ」の結果は、「個人レポート」にまとめられフィードバックされる。被験者はこれを基に「アクションプランシート」を使って結果を整理し、今後のアクション・プランを立て、それを基に上司との面談を行う。被験者を集めた研修は行っていないが、任意で受講できるeラーニングやソフトバンク・ユニバーシティでの研修を用意している。



J.フロント リテイリング

平成12年に大丸において職務等級制度への変更を機に「行動特性多面観察」を導入した。職務等級制度は人事異動により職務内容が変わると処遇も変わるため、異動に際してはしっかりした説明責任と納得性が求められる。そのため上司だけの見方を補完する目的で導入された。平成20年からは松坂屋においても実施している。

「行動特性多面観察」の対象は非正規社員も含めた全従業員で、年に1回行われる。観察の構成は本人、直属の上司1名、それ以外の上位者2名、同僚2名、下位者2名の計8名が基本となっている。

フィードバックは直属の上司が行い、本人評価と他者評価の比較を参考に話し合う。また現在の職務および将来のキャリアで求められる特性を意識した行動が取れるように行われる。

「行動特性多面観察」と同時に、潜在的な能力の可能性を探りキャリアの形成につなげるため、「キャリア適性サーベイ」という人材アセスメントも行っている。この2つを相互補完し、昇進、異動、人材の成長・育成支援に活用している。



ノバルティスファーマ

日本法人では2000年から独自に多面評価を実施していたが、2005年に全世界のグループ企業で使われている管理職向けの「360度フィードバック」と、一般社員向けの「180度フィードバック」に切り替えた。

多面評価の目的は、被験者が①周囲への自分の影響力を理解し、②自分の意図と他者の認識の差を明確にする。そして、③深い自己認識を通じてリーダーシップの効果性を高め、④現在の課題に取り組む行動計画を作成することにある。多面評価は人材育成のために活用しており、結果を処遇に反映させることはしていない。

管理職が被験者となる「360度フィードバック」では、リーダーに求められる普遍的な行動を伸ばすことを目的に、同社が規定する「リーダーシップ・スタンダート」を基に評価項目を設定している。一般社員が被験者となる「180度フィードバック」(観察者は上司と同僚の2方向)では、企業価値に基づく行動規範を実践することを目的に、同社で定める10項目の「バリュー&ビヘイビア」を基にした質問内容になっている。

観察評価者は「360度・180度フィードバック」ともに、10人弱で被験者が選ぶ。直属の上司・1名、同僚は被験者と同じ階層で最大5名まで、管理職の場合は部下が加わる。

実施時期は管理職の場合、昇格直後の研修時と、1~2年経過時の振り返り研修の際、そして3年以上経過して行われる2回目の振り返り研修時に実施される。一般社員の場合、3等級と4等級へ昇格した際、それぞれ行われる研修に合わせて実施される。

研修では多面評価の効果を高めるため3つのステップを使い、被験者に説明している。①差異や比較、情報源に注目し「理解に努める」、②最も驚いた点や最重要項目から「優先事項を決定する」、③何を、誰と、いつ、どのようにという視点から「行動計画を練る」。

人事部が被験者の結果を直属の上司へ開示することは行っていないが、多くの被験者は研修終了時に上司へ報告する際、自発的に結果を開示している。人事部としては研修が終われば観察者に結果をオープンにして、わからない点があれば話を聞くことを推奨している。



帝人

1994年に導入された「OMF」(Open Mind Feedback)を改良し、1997年から「多面観察制度」として実施している。目的は直属上司による単方向からだけでは捉えにくい人的側面を把握し、管理職層の成長を支援し、成長のスピードアップを図ることにある。結果を人事評価に反映させることはないが、役職への登用や昇進判定時の補完参考情報として活用する場合がある。

「多面観察制度」の対象となるのは経営管理職(課長の一歩手前の階層以上)で、被験者ごとに3年に1度のペースで行われる。観察者となるのは直属・斜め方向の上司・2~3名、同僚及び社内関係先・2~3名、部下と後輩・4~5名の計10名程度で、被験者の上司が指名する。

「多面観察制度」の質問内容は管理職層として求められる行動を9つの着眼点から捉えた項目を4段階で選択する。そして、観察者が自由にコメントする欄を設け、被験者の長所と改善が必要と思われる点を記述する。

結果は報告書にまとめられ被験者にフィードバックされる。報告書では設問ごとに自己評価と観察者ごとの評価が数値で示される。3年前の結果も表示されるため、経年変化を確認することができる。観察者が自由にコメントした内容も表示される。

「多面観察制度」の結果が出ると、被験者は直属の上司と面談を行い、行動計画書を作成する。これは現場でのマネジメントツールとして活用し、人事部への提出は不要。

「多面観察制度」は被験者は3年ごとに受けるが、企業としては毎年、該当者に実施していることになるため負担は重いが、人材育成の観点から得られる成果には大きなものがあるとしている。



ヤマト運輸

平成3年から「よいサービスを提供する人を育てる人事制度」の一貫として、よいサービスを提供する人が評価され、よい処遇を受けられるようにするため、セールスドライバー同士が互いに評価し合う「360度評価」を行っている。平成14年からは対象をパートタイマーにも拡大し、全社員を対象に年に2回行われる。

「360度評価」はセンターと呼ばれる7~10名の組織を基本単位にして実施される。セールスドライバーは同じセンター所属の同僚・仲間から評価を受け、センター長はセールスドライバーと各センターを統括するエリア支店長から評価を受ける。

フィードバックはエリア支店長から各セールスドライバーに対して行われる。「360度評価」は人を育てることを目的としているため、フィードバックは悪い点を指摘するのではなく、よい点を伸ばした中で足りない点はどこかという姿勢で行われる。人材の育成、会社組織のDNAの継承、管理職の人を見る目の養成という点で効果を確認できている。




【関連書籍】
多面評価についての基本的な解説、人材育成との関係、導入に当たってのポイントなどが、わかりやすく解説されています。導入編では、多面評価を導入している15社に対するアンケートの結果と、ヤマト運輸、Jフロント・リテイリング、カゴメの3社の事例が掲載されています。
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360度フィードバック



経団連加盟企業で多面評価を導入している12社の事例を紹介しています。制度や運用の内容だけでなく、導入に至った経緯や、人事評価との関係、人材育成への応用、今後の課題なども取り上げています。
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360度評価制度事例集




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