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人材を活かして育てるキーワード その2
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社員を活かして育てる人事評価

人事評価 とは評価制度の中心に位置づけられるもので、印象や主観による評価を排して、社員の勤務実績、能力、人物的資質などを組織的、秩序的、客観的に把握、評価する仕組みのことです。

人事評価は社員や組織に大きな影響を与えます。人材を活かして育てる人事評価とは、次の要件を満たしていることです。


公正であること

自社にふさわしい評価要素

自社に適した設計とウェートづけ

評価要素が定義づけされていること

フィードバックが行われること

人事評価のオープン化

人事評価の限界への対処法


では、順に見ていきましょう。



公正であること


社員を活かして育てるためには、人事評価制度が適正に設計され、適切に運用されているいることが重要です。なぜなら、社員は誰でも自分の仕事や成果が正しく評価されることを望んでいるからです。

一般に従業員のモチベーションは、次の3つの要素から成り立っている、と言われています。
  1. 公正な経済性
  2. 自律的な人間関係
  3. 成長と自己実現

1.の経済性とは、給料、賞与、昇進・昇格といった処遇のことです。これが公正(フェア)かどうかはモチベーションに大きな影響を与えます。そして、この公正な経済性をもたらすのが人事評価です。

公正な経済性というと、成果に対してお金で応えること、結果を出した人に報酬で応えること、と考えてしまいます。果たしてそれだけでしょうか。

お金の不公平感は不満を生みますが、仮にそれを公正にしても満足感は高まりません。10万円儲かったら20万円欲しくなり、20万円手に入ったら30万円欲しくなります。そして、この間に他の人がもっと稼いでいることがわかると、自分は何だか損をしたと思ってしまうのが人間です。

給料や賞与が公正に決定される仕組みになると、ある程度不満は解消されますが、それは満足感に繋がりません。「不満がなくなること=満足」とはならないのです。これは モチベーション のページで紹介している ハーズバーグの論文 でも明らかにされています。

お金という報酬で応える以外に、非金銭的な報酬で応えるという「心理的な報酬の公正さ」も必要です。非金銭的報酬の例としては次のようなものがあります。

  • やりたい仕事・プロジェクトに就けること
  • 希望する部門への異動できること
  • 希望する教育や研修を受講できること
  • 自由に労働時間を配分、設定できること
  • 豊富な表彰制度があること
  • 特別休暇・特別予算の付与されること

非金銭報酬の充実度チェックシート(PDF)



金銭的報酬だけで社員のやる気を刺激しようとしても限界があります。お金だけで社員のやる気が出るなら、歩合給やインセンティブを導入すれば問題は解決するばずです。しかし、歩合給やインセンティブを導入している会社・業界ほど離職率が高いのが現実です。

成果主義の行き詰まりが各方面から指摘されていますが、行き詰まっているのは成果主義的な賃金制度だけに依存した経営、人事管理ではないでしょうか。経済的に豊かになった現在の日本では、年収が少し上がる程度で目の色を変えて働く人は少ないのが現実です。





自社にふさわしい評価要素


人事評価の種類としては以下のものがあります。
  1. 能力評価
  2. 情意評価
  3. 業績評価
  4. コンピテンシー

それぞれの人事評価の詳しい解説と評価要素の事例は 別ページ に掲載しています。能力評価・情意評価・業績評価の基本的な組み合わせについては次章でご案内しています。


人事評価の評価要素の中から自社の経営理念に沿い、ビジョンやミッション、経営戦略を推進するのに適したものを選び、それらを組み合わせることで人事評価の基本的な枠組みが出来上がります。どのような評価要素の組み合わせがベストなのか、正解はありません。人事評価は経営を支援する仕組みですから、経営理念や経営方針、期待する社員像が違えば評価要素も変わってきます。

また、メディアやコンサルタントは営業上の必要性から、常に最新または流行の人事評価制度を宣伝し、導入を働きかけてきますが、そうした仕組みが自社にとって最適なものとは限りません。

それよりも人事評価という制度を定期的にメンテナンスできる人材を養成することが大切です。人事評価制度は経営を支援する仕組みですから、経営環境の変化に応じて常に変更や修正が必要になります。自分の会社のことを一番よく知っているのは自社の社員ですから、社内の人材で制度の定期的な見直しを行うのが一番よい方法です。

そうした社員がいないと、見直しはいつもコンサルティング会社任せになり、結果は担当したコンサルタントの理解や能力に応じた範囲内にとどまり、時間と費用がかかる割りにあまり実りのない結果が続くことになります。





自社に適した設計とウェートづけ


人事評価の設計

では、人事評価制度の設計にあたり、能力評価、情意評価、業績評価はどのように組み合わされるのでしょうか。

一般的に管理職と管理職以外では人事評価の中身に大きな違いがあります。管理職は業績評価に大きなウェートをおいて評価されます。管理職以外では、下位階層の社員ほど能力評価と情意評価を中心に据え、業績評価は用いられません。


人事評価制度の基本的な枠組みを示した図

管理職の評価の中心は結果であり、途中のプロセスや意欲などはあまり評価の対象とされません。プロスポーツ選手に近いものがあり、このため管理職には年俸制を採用する企業もあります。

企業によっては、管理職は業績評価しか用いないというところもありますが、まだ少数派です。大半の企業では、管理職にも能力評価や情意評価を行っています。そのため能力評価が年齢給の代替となり、実質的に年功序列賃金制度が維持されているという会社も数多くあります。

管理職でなくても上位の資格等級者ほど、業績評価と能力評価が中心となり、情意評価のウェートは低くなります。管理職を補佐する立場であり、業績にも一定の割合で責任を負ってもらおうとされるためです。下位等級の社員は情意評価と能力評価が中心になり、将来に向けた育成期間中という扱いになります。


また、人事評価の結果を処遇に反映させる際に、賃金と賞与にわけて評価要素を使い分けるケースもあります(下図)。その場合、昇給については能力評価や情意評価を用い、賞与については業績評価が用いるのが一般的です。こうした場合、業績評価として 目標管理制度 が用いられることもあります。


人事考課の処遇への反映の図


能力や情意は年々蓄積する傾向があり、安定した結果を生むため、毎月の賃金に反映させ、業績という短期的で変動が大きい要素については賞与に反映させるという姿勢です。

最近は賃金は社員の生活基盤と位置づけ、成果には賞与で応えるという傾向が強くなっています。経営の先行きが不透明であり、賃金アップは固定費の増加となるため、企業は昇給にはより慎重な姿勢で臨まざるを得なくなっています。


【関連情報】 運用が難しい目標管理を克服する方法  目標管理が難しい原因と、それを踏まえた上での対策をご紹介しています。





実際のウェートづけの例

評価要素のウェートづけのサンプルを業績評価と能力評価を使って示してみます。この例では点数は10点満点で評価されています。

最初に業績評価と能力評価のウェート(割合)を決めます。この例では業績評価を60%、能力評価は40%としています(ウェートb)。かなり業績重視のウェートづけです。

評価種類 項目 点数 ウェートa 点数×a 小計 ウェートb 小計×b 総計
業績評価 目標1 70%  4.9 6.4 60% 3.84 6.00
目標2 30% 1.5
 能力評価 評価要素1 50% 2.0 5.4 40% 2.16
評価要素2 30% 1.8
評価要素3 20% 1.6


次に業績評価の目標1と2のウェート付けをします。ここでは目標1が70%、目標2は30%の設定です(ウェートa)。そして、能力評価の評価要素1、2、3は、それぞれ50%、30%、20%の割合となっています(ウェートa)

評価結果の点数に評価要素ごとのウェートaを掛け、さらに評価の種類ごとのウェートbを掛け、それらを最終的に合計することで、最終的な評価とします。この人の場合、この期における人事評価の結果は総計の6.00として扱われます。

これはあくまで一例です。どの部門の、どんな階層の社員に、どういった評価要素を選び、どのようにウェート配分するかは、経営環境や自社が最も重視する事柄によって左右されます。




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評価要素の定義づけ


人事評価の目的の一つは社員の処遇にあります。評価をもとに資格等級や昇進・昇格、給料・賞与が決まります。人事評価制度には以下の要素が求められます。

  • 妥当性
  • 信頼性
  • 客観性
  • 納得性
  • 公平性



評価の仕組みとして人事評価制度が導入されていないと、評価する基準、モノサシが定まっていないことになります。このため役員、管理職による評価がこれら5つの要素を欠く恐れがあります。そうなると評価される社員からは、えこひいきがある、好き嫌いで評価されている、印象や見た目だけで評価された、といった不満が生じることになります。

厚生労働省の調査によると、人事評価制度の導入割合は、
1000人以上の企業では、70%
300人以上〜1000人未満の企業では、64%
100人以上〜300人未満の企業では、47%
30人以上〜100人未満の企業では、30%
となっています
(平成24年度・就労条件総合調査


適切な人事管理、人材マネジメントの観点からすると、人事評価制度はあった方が望ましいでしょう。ただし、評価制度が適正に設計され、運用されることが条件になります。これは相当ハードルが高いのが現実です。

運用における最大のハードルは評価結果のバラツキ、いわゆる甘辛の差が大きいことです。これを解消するために評価者訓練が行われますが、その際は人事評価が表現する言葉の意味を評価者の間で共通の認識にすることが大切です。これが、人事評価の運用で必須とされる「評価要素の定義づけ」です。

たとえば、「革新性を評価する」と言っても、革新性の定義がなされていないと、評価者はその深い意味や具体的な内容がわかりません。そのため、結果にバラツキが生じ、評価の甘い上司の部下は得をして、辛口の上司の部下は損をすることになります。こうした不公平感がモチベーションを低下させます。特に中小企業では人事異動があまりなく、上司・部下との関係は半永久的に続くため事態はより深刻になります。

社員数が100人ぐらいまでなら、人事評価制度がなくても経営者が一人ですべての社員の評価を行うことができます。だたし、この場合も経営者は常日頃から自分の評価基準の中身、評価のモノサシの内容を明らかにして、それを社員に伝えておかなければなりません。

中小企業は大企業と違い経営者の交代が滅多にないため、評価制度の有無に関わらず、経営トップは自らの言葉で評価における言葉の意味を社員や管理職に理解させ、浸透を図る必要があります。これが評価者訓練に相当します。中小企業では評価者訓練をコンサルタント任せにしていると効果は半減します。





フィードバックが行われること


人事評価は評価・処遇制度であると同時に、人材を育成する機能があります。時折、「なぜ人事評価で人材が育成されるのか?」というご質問をいただきます。

人事評価は結果に基づいて評価をするものです。そして、結果には必ず原因があります。経営者や管理職は部下に対し、評価の対象になった行動や、その背後にある態度などをフィードバックし、強みや弱みに気づかせるようにします。部下が自らの強みを活かし、弱みを補うことに意識が向くように仕向けることが人材育成につながります。

社員や部下はフィードバックを受けることで、次のような点を理解することができます。

  • 評価された判断や行動 、態度
  • あまり評価されなかった点とその理由
  • 自らの強み、持ち味、長所
  • 自らの弱み、苦手とする点、短所
  • 改善が必要な態度、行動、役割意識
  • 今後、必要となる知識や経験、スキル



人事評価だけで人材が育成されるのではなく、その後のフィードバックがセットになる事で仕事に取り組む意識が変わり、能力開発が促されます。これが人材育成につながるのです。

しかし多くの中小企業では人事評価のフィードバックが行われていません。その理由としては、@評価制度の中身が杜撰なため内容を知られたくない、 A評価結果について質問されると答えられない、B上司と部下の人間関係が悪くなる、 Cマイナスの評価を見せると、やる気をなくす恐れがある、などがあります。

その結果、人事評価が相対評価によって社員に優劣をつけるだけの仕組みになっています。大企業は人材の入れ替えが可能なため、社員間で優劣をつけ、人材を選抜するだけでも問題はありません。また中高年層を対象に選抜の必要性もあります。

しかし中小企業では人材の入れ替えは十分にできないため、人事評価で社員間に差をつけているだけでは人材が不良債権化し、経営の重荷になるだけです。中小企業ほど人事評価のフィードバックにより人材を育成することが重要になります。



【関連するページ】
人事評価のフィードバックを伝える際のポイント  人事評価のフィードバックとは具体的に何を取り上げ、どのように進めれば良いかを解説しています。

ワークモチベーションの着眼点 フィードバック編  フィードバックとモチベーションの関係と、実りのあるフィードバックを行うポイントをご紹介しています。



フィードバックを待つ男女社員のイメージ写真
社員はフィードバックを待っています


当事務所ではフィードバックを行う際に役立つ 人事面接マニュアルフィードバック面接チェックシート を無料でご提供しています。また、個人特性分析 という人材の診断・分析では、自己分析シート (PDF)を作成します。これらを使えば、役員や上司の方は無理なく部下とフィードバック面談ができます。





人事評価のオープン化


フィードバックを行うためには人事評価のオープン化が避けて通れません。実際につけた評価点だけでなく、評価要素や評価に際しての着眼点など、出来る限りの情報開示を進めるべきです。

人事評価の内容をわかりやすく要約した簡易な評価表を作成し、被評価者が自己採点を行う会社もあります。この場合、上司は自分の行った評価と部下の自己採点の比較をしながらフィードバックを行います。

人事評価のオープン化は、会社が社員に期待する役割や、理想とする人物像を明らかにすることでもあります。わが社では社員に何を求め、どんな行動を重視し、どのような人材に成長して欲しいのか、それら明示することで、社員は自らに課せられている職責や役割を理解することができます。

期待の背後には信頼がなければいけません。ここから期待に応えようとする動機が生じ、モチベーションの向上につながります。信頼のない期待はノルマです。

社員に期待する指標や理想の人物像を明らかにする作業は、自ずと自社の経営理念やビジョンを明確にすることにも繋がります。人事評価のオープン化は経営理念の確立や浸透にも貢献します。

評価制度設計の教科書に従えば、最初に経営理念やビジョンを設定し、その後に社員に求める役割を定め、人事評価制度設計へと進みますが、現実には評価制度を整えていく過程で求める人材像が明確になり、それが経営理念の確立につながっていくというパターンもあります。プロセスはどうあれ、最終的に経営理念・ビジョンと人事評価が連動するようになればよいのです。

人事評価の進め方を示した図





人事評価の限界への対処法


@人材の診断・分析のご提案


人事評価には完璧なものはないという事実に加えて、次のような限界もあります。
  1. 過去の結果に基づいた評価であり、将来の成果を保証するものではない
  2. 会社が決めた評価要素だけによる評価であり、それ以外については考慮されない
  3. 職務や職種の違いによる評価基準の設定・調整が十分にできない
  4. 上司・評価者による評価誤差が避けられない
  5. 仕事の変化の早さに制度の修正・更新が追いつかない


人事評価という仕組みだけで社員を評価したり、活用、育成することに限界が生じているのです。

これまで会社は、将来の人材のあるべき姿は、ある程度予測し、見通すことができました。必要とする人材は過去の延長線上の先にあり、5年先、10年先にはこんな人材になって欲しい、そんな見通しの下で、人材の育成を図ることが可能でした。社員からすれば、自分の10年先の姿は10年先輩の社員を見れば、およそ想像することができました。


社員が成長するイメージについて、これまでと今後を比較したイラスト



しかし、現在は企業を取り巻く環境変化のスピードが早く、経営戦略や事業構造が大きく転換することが珍しくありません。企業が成長するためには未知の試みに挑戦し、結果を出すことが欠かせなくなっています。

その際、どのような能力が必要になり、どういった人材が求められるのか、それは人事評価ではわかりません。人事評価はあくまで現在の仕事について、過去の結果に基づいて評価する仕組みだからです。そのため、将来、どのような社員が自社に必要になり、貢献するのかを見通して人材を育成することが難しくなっています。


こうした人事評価の抱える問題を解決するのが、人材アセスメントと呼ばれる評価手法です。当事務所では 個人特性分析 という人材アセスメントを手がけています。

あらかじめ用意した質問に対する回答の方向や強さを測定することで、行動、言動、態度などの個人の特性を評価・分析し、そこから、「行動の予測」「能力の可能性」「思考・行動パターン」「態度・価値観・やる気」などを明らかにします。人事評価ではわからない社員の潜在的な能力や、モチベーションを数値化して捉えることができます。


人事評価と個人特性分析の違いを比較してみると次のようになります。

人事評価と個人特性分析を比較した図



人事評価と個人特性分析を併用することで、人材を効果的に育成・活用することができます。また、結果を本人に通知する 自己分析シート(PDF) も作成されるため、フィードバックを行うこともできます。


個人特性分析の詳細はこちら

結果サンプル(PDF)




A組織診断のご提案


人事評価が期待したほどの効果をもたらさない原因は、制度設計にあるのではなく、仕組みが適切に運用されない社内環境や組織風土のせいかもしれません。

評価制度の導入・見直しにあたっては、会社の現状を総合的に点検することも重要です。人事評価の運用を阻害する問題を放置したまま、制度という仕組みだけを整えても、目指す目的は達成できません。

そこで当事務所では、会社や組織の現状と問題点を明らかにする 組織診断 を行っています。この組織診断では、組織活力測定 により組織風土・人間関係・会社評価・職務遂行・組織構造という5つの面から組織の活力を明らかにします。

組織活力を低下させている問題は、会社全体に及んでいるのか、特定の部門・階層に偏在したものなのか、といった問題の所在だけでなく、問題同士の関わりの有無もわかります。


組織活力測定のサンプルの一部(PDF)

組織診断のご案内はこちら





【ご案内】
当事務所では、この他にも社員の人材の価値を高めるための各種の診断・分析業務を行っています。利用に際してのご質問やご相談には無料で対応していますので、お気軽にお問い合わせください。

E-mail: justeye367@yahoo.co.jp   電話 : 06-6761-3517








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