ここでは、従業員のモチベーションを高め、組織を活性化を目指す各社の制度や工夫、アイデアなどをご紹介します。
なお、ご紹介している事例の中には法的な規制が関係したり、労働問題のトラブルが起きないようにする予防措置が必要と思われるものも含まれています。導入に際しては、事前に弁護士や社会保険労務士といった専門家にご相談されることをお勧めします。当事務所でも対応しています。詳しくは
こちらのページをご覧ください。
異動したければ自ら手を挙げる
料理レシピの投稿・検索サイトを運営している
クックパッドでは社員の主体性を重んじており、社員が「やりたい」という意思を持つことや、「チャレンジしたい」という気持ちを重視している。それを実現する方策の一つとして、「社内公募制」を導入している。
定期的な人事異動は事業戦略の必要から組織変更を行う場合以外は行わず、異動を希望する社員は社内の公募に対し自ら申し出ることによって異動する。異動を希望しない社員が社命により異動することはない。
社内で人員が必要になった部門は、社外からの求人募集に加え、社内に向けても募集をかける。社内公募に応募できるのは、現在の部署に異動してから6カ月以上経過している社員で、新卒社員は育成を重視し2年間は応募できない。社内公募に申込む際は、直接人事部に申し込み、所属長の許可や承認は必要ない。また公募に申し込んだ事実も伏せられる。
公募に応じた社員の選考は、募集をかけた部署の責任者が行い、最終的に人事部が異動の可否を判断する。異動する社員の上司は部下の異動を拒むことができず、異動により人員が不足する場合は外部から人材を募集する。
不採用となった場合は、理由を本人にフィードバックする。フィードバックによってスキルが不足しているとされた社員は、選択制になっている研修メニューの中から、必要なスキルを習得するための研修を自分で選ぶことができる。
社員は全員人事部所属
ゲームやアプリ制作の
カヤックでは、社員全員が人事部の仕事を受け持つ「ぜんいん人事部制度」を取り入れている。名刺には、「○○(←本来の部署)・人事部」と書かれ、対外的にもアピール出来るようにしている。人事を「ひとごと」にせず、「自分の事」にすることが狙い。
同社の採用では、書類選考を免除する「ファストパス」や、いきなり最終面接を受けることができる「ラストパス」という権利を用意し、これを社員全員に与えている。そして、知人が採用に応募してきた時に、自分の判断で渡せるようにしている。
人事評価では社員の評価をオープンにして、誰でも自分の評価はもちろん、他人の評価も見ることができ、書き込みもできる。昇給査定では、同じ職種の社員同士が互いに投票をし、その結果を基に昇給額が決まる。社員全員の現在の給与ランクと、給与ランクのレンジ幅も公開している。
ライオンの群れ
医療機器・医薬品を製造販売する
テルモは、2009年から社員は誰でも部門横断で人材を募り、チームを作って問題の解決に取り組むことができる「アソシエイト・プライド」という仕組みを導入している。公式な組織の下で仕事をするだけでなく、自ら課題を見つけ、自主的に行動することができる組織風土を目指し、個人主体の成果主義と指示待ち体質からの脱却を図る。
同社では人を資産と捉え、社員を「アソシエイト」と称している。プライドには誇りという意味と、互いに協力するライオンの群れという意味がある。
希望者は役職者でなくても、手を挙げることができ、集めるメンバーにも制限はない。過去には主任が作ったチームに役員がメンバーとして参加した例もある。上司から命じられて仕事をすることが減り、やらされ感がなくなる効果が出ている。
新規事業提案制度
リクルートでは、1983年以来、社員から新規事業提案を募集する制度を実施している。この制度はスタート当初は「Ring」と呼ばれ、その後「New Ring」に改称された。
毎年7月に新規事業提案の受付を始める。社員は部署を問わず自由に集まり、新しい事業の企画をレポートにして提出する。企画書提出までは1グループ・5万円の活動費が支給され、メンバーが3名以上であれば社外の人間もメンバーとして参加することができる。提出された提案は、審査と面接を経て、翌年の2月に1次審査合格の決定を行う。この段階で決定された企画には年間500万円の予算がつき、事業化へ向けて準備段階へ進む。
2014年4月からは、ITを前提にした新規ビジネスモデルの開発を目的にした「New Ring Recruit Ventures」に仕組みを刷新した。提案の受付を毎月に変更し、1次審査の通過後に実際に製品開発を行う。最終審査で合格になれば、応募者は新しく設立された新規事業開発部署へ異動・出向し、事業化に取り組む。
影武者参上
資生堂は子育て中の美容部員を対象に、子供の迎えや夕食の支度のため早めに店を出られる仕組みとして、代わりの美容部員を「影武者」のように用意しておく「カンガルースタッフ制度」を取り入れている。
夕方から閉店までの2〜3時間は子育て中の美容部員に代わって、アルバイトのスタッフが仕事を引き継ぐ。このアルバイトは同社への入社を希望する学生や内定が決まった学生が担っており、インターンシップの機能も併せ持っている。
困った取引先とは絶縁宣言
精密バネ製造の
中里スプリング製作所は、コストや納期などで無理難題を押し付ける取引先は営業担当者の判断で取引を打ち切ることを認めている。取引先がなくなると、社長が新規開拓により新しい取引先の開拓に努める。
中里社長によれば、嫌々ながらする仕事に意欲を燃やせる人はいない、仕事を引き受けるかどうかは楽しいか、楽しくないかで判断する方針。そして「日本一楽しい会社」を目指している。
役員を強制的に入れ替える
サイバーエージェントでは、2008年から8人の役員のうち2人を年に1度、強制的に交代させる人事制度、「CA8」を導入している。入れ替えるメンバーは社長が1年間の成果や今後の事業の見通しを基に判断する。
役員層が固定化することで、その下の管理職階層の社員のモチベーションが低下することを回避し、役員を定期的に入れ替えることで経営人材の育成を目指す。
全員参加で経営について話し合う
東京海上日動システムでは、全社員が参加して会社の将来や社員の目標を話し合う「全社論議」を行っている。これまで話し合われたテーマは、「会社や組織、自分の強みは何か」「経営理念を実現するためには、どの強みを活かせばよいか」「5年後、会社はどのような姿であるべきか」
議論は少人数のグループごとに別れて行われ、テーマが変わるごとにグループのメンバーが次々と入れ替わる方法で行われる。同社には経営企画部があるが、あえて経営企画部の仕事を全員参加で行うことで、社員のモチベーションを維持しようとしている。
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褒章制度を充実させる
ファミリーマートは1年に1回、優秀な店員を表彰するイベント「スタッフアワード」を新設した。アワード(賞)は、「グッドスタッフ賞」と「エクセレントスタッフ賞」
の2つがある。
「グッドスタッフ賞」は、店長らが審査員となり各店で人数に制限を設けることなく選出される。さらに「エクセレントスタッフ賞」は、店舗指導員らがグッドスタッフ賞の受賞者の中から全国140の営業所ごとに一人を選ぶ。
感謝の気持ちをカードに託す
ホテル、
リッツカールトンでは部門を超えて社員が助け合う仕組みとして「ファーストクラスカード」がある。顧客サービスにあたって、他の部門の人の協力を得られたときに、自らの感謝の気持ちをカードに託して相手に渡している。
顧客からの感謝の言葉がカードに書かれることもあり、協力した人は自分の貢献が実感できる。顧客や仲間からの感謝の気持ちが伝わることで、組織における自らの存在理由が確かなものになり、やる気が高まる。
ファーストクラスカードのコピーは従業員食堂にも掲示され、全員が同じ経験を共有することができる。そして「こんな時には、こうすればいいのか」と学習することができる。ファーストクラスカードが顧客対応マニュアルの役割も果たしている。
自らキャリアを選択できる制度
宮城県の
仙北信用組合では、契約職員でも支店長に立候補できる人事制度を導入した。
契約職員は時給制と年俸制のどちらでも選べ、年俸制を選んだ場合、待遇は退職金を除いて正社員と全く同じ。仕事上の差もなく、支店長への昇進もできる。自らのキャリアを自分で選択できる制度で職員のやる気を高める。
顧客の評価を収入に反映させる
外食チェーンの
フォルクスでは顧客に接客態度や味など4項目を採点してもらい、すべて満点なら、支払伝票の2%を接客担当者や調理担当者に還元する。
アンケートは伝票上に設け、「満足」「普通」「不満」で尋ねる。働き次第で収入が増える仕組みをつくり、パート・アルバイト社員のやる気を高める。
感謝を表彰する
バイオ・ライフサイセンス関連の試薬の提供、受託サービスを行っている
インビトロジェンでは、複雑多様化するニーズに応え、オンリーワンのサービスを目指すため社員のモチベーションアップの施策に力を入れており、その一環として「GOOD
JOB賞」を実施している。
4半期に一度、お客様や同僚から感謝された人を投票で選出し、受賞者には表彰用として社員のデザインによるオリジナルバッチが授与される。各四半期と年間トップ10の社員にバッチを進呈する。
社員一人ひとりのモチベーションアップと会社全体の士気を高めるツールとして有効に活用すると同時に、今後はデザインを社内コンペ形式で決定することで、個々の社員にもスポットをあてていこうと計画中。
社長からの賞賛メール
小林製薬ではチームや自らの業績・取り組みの中から、「これぞ」と思う内容を自己申告する「青い鳥カード制度」を実施中。提出された自己申告の中から社長が金賞を決める。企業の経営理念である「ほめる経営」が、ほめられたいという前向きなやる気を引き出している。
また、同社では管理職が部下の優れた功績の事例を社長に推薦する取り組みも実施中。選考の結果、優秀な業績を挙げた社員に対し、社長自らが「ホメホメメール」を送っている。社長に優れた業績を報告するため、管理職は部下の行動や業務内容に深い関心を払うことになる。社員のやる気を高めると同時に、管理職のマネジメント能力の向上も狙っている。
「青い鳥カード」や「ホメホメメール」は社内報や社内LANに載せられ、全員が見ることができる。このことが現場と経営の距離感を縮める。さらに他の部門からの支援要請や問い合わせが舞い込むことになり、組織の垣根を超えた商品開発、業務改善に繋がっている。
多様な労働時間制度
図書印刷は勤務時間帯や1日の労働時間の長さを選べる「ダーバーシティ勤務制度」を導入する。始業時間は5通りから選べ、1日の労働時間を長くして、月の休日数を増やすこともできる。
始業時間は、午前8時、9時、10時、11時、午後1時から選択可能。1日の所定労働時間は8時間以外にも、8時間30分や9時間を選び、毎月の休日数を通常より1〜2日増やすことも可能。対象となるのは営業や管理部門の社員で、全従業員の約5割に相当する。
憲章の普及を目指す
ブラザー工業は従業員の意思決定の基本方針と行動規範を定めた「グローバル憲章」を、海外のグループ企業・約60社にも普及させる。理念を徹底させるリーダーの育成に取り組み、憲章に基づく意思決定や行動ができるように議論も促す。
従業員の間で価値観を共有し、グループ経営の強化を目指す。「グローバル憲章」は1999年に制定し、26カ国の言語に翻訳し、携帯できるカードにして国内・国外の約3万人の従業員に配布した。
外国人が企業哲学を伝授
ホンダはアジアの生産子会社の社員研修において「ホンダ・フィロソフィー」を教える講師に外国人幹部を起用する。
従来は本社から日本人講師を派遣していたが、タイやベトナムなどの子会社の幹部、約10名を新しく講師役に任命。創業者の本田宗一郎氏の企業哲学の伝承を外国人幹部に任せ、一層の現地化を推進する。
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